
| やきそば情話 3 「やきそばと肉かす」 富士宮やきそば学会 運営専務 渡辺 孝秀 |
富士宮やきそばのブレークで、急に傍らにあったものが表舞台に躍り出てきたものがいくつかある。それは、肉かす、鰯の削り粉、紅ショウガ、やきそばソースやキャベツなどである。 特に肉かすは、元々は捨てていたものである。戦後、精肉店では今のような食用油が少なかったことから、豚の背油を絞り、ラードを作っていたが、その残りが肉かすである。それを、誰が最初に使ったかは定かでないが、当時、肉も高価で手に入らないことから、捨てていた肉かすを精肉店から譲り受け、やきそばやお好み焼きなどに入れていたようである。 その肉かすの風味が意外に市民に受け、焼きそばには肉かすとして定着していったようだが、食料難時代にあって、わずかながらの動物性タンパク質を補給できることも普及していった要因ではないかと考えられる。まさにリサイクル社会でもあったわけだ。 その肉かすが、最近では精肉店の店頭からたびたび消えてしまうことがある。富士宮やきそばのブームで、麺も店頭から消えるというパニックがあったが、肉かすはいまだにそういう事態が起きている。 精肉店によれば、ラードは、いままではあまり需要がないことから、以前のようにラードを作らないらしい。そのため、当然肉かすも生じないことになる。それが、肉かすだけを求めてくる人が多く、今ではかつて捨てていたものをわざわざ作り、逆にラードが残る珍現象が起こっているから時代の流れは面白い。 |