
| やきそば情話 4 「やきそばと腱鞘炎」 富士宮やきそば学会 運営専務 渡辺 孝秀 |
富士宮は、平成13年は焼きそばの年でもあった。まちおこしの市民グループ「富士宮やきそば学会」が地域独特のやきそばをユニークな情報発信により、突如注目を浴びることになった。あれよあれよと情報が伝播し、全国から観光客が押し寄せるようになり、やきそば店では、最初は何がなんだかわからない状況であった。 マスコミからも多数取材があり、宣伝効果は高まってきたが、意外や意外に、やきそば店は困惑気味であった。それは、近所の常連を相手に変わらずに対応している小さな店が多いからだ。一時のブームに乗じると常連のお客を粗末にしてしまうというのが大方の本音であった。 店によっては、やきそばマップに載せてほしくないとか、マスコミの取材を拒否するという贅沢なような要望もかなりあった。そうは言うものの、どの店も千載一遇のまちおこしには協力的であった。 やきそば学会は、「やきそばマップ」や「幟旗」を作成し、今では多くのやきそば店の店先にオレンジ色の幟旗が立ち並び、市外や県外から訪れる観光客の目印となっている。ようやく観光客に対する態勢も整い始めてきた頃、あまりのお客の多さに、へらを持つ手が腱鞘炎になってしまい、病院やマッサージに通う店主が続出してしまうという嘘のような本当の話が出てきた。 ある人気店は、半月ほど休んでしまったり、いまだに休んでいる店もある。家族中が腱鞘炎になり、キャベツ切り機を購入した店もあるそうだ。最近ではさすがに慣れてきたようであるが、お好み焼きと違い、やきそばは間断なくへらを使い続けることから、焼くのに大変疲れるといううれしい悲鳴が漏れる。 |